鈍色望遠鏡

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真の『怪物』は誰か?

シフト〈1〉世界はクリアを待っている (電撃文庫)シフト〈1〉世界はクリアを待っている (電撃文庫)
(2008/06/10)
うえお 久光

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小説:うえお久光『シフト―世界はクリアを待っている―』の1?3巻を読みました。

この小説の1・2巻はもともとハードカバーの単行本として出版された作品だったものが文庫になったもので、3巻は文庫での書き下ろしです。
ハードカバーから文庫になったのは、いまいち売上が振るわなかったからなのかな?と邪推してしまいます。

ともあれ、この小説、個人的にはものすごく好きです。
文庫の折り返しには、
『一部の若者たちの間で起こった不思議な現象――眠るとロールプレイングゲームにも似たファンタジー世界へ《シフト》し、そこで、もう一つの生活を送る』
話だと書いてあります。
ぶっちゃけて、もっと単純に言ってしまうと、
「一部の中高生たちが、夢の中で大規模オンラインRPGゲームをプレイする話」
です。
ただし、一度《シフト》した世界の中で死んだら、《シフト》に関する記憶はなくなり、二度とアクセスできなる、とかいろいろな制約があります。
《シフト》してきた人間には自動的に職業(能力)が割り振られ、『戦士』、『魔法使い』、『ハウスオーナー』、『クリエイター』、『怪物系』等に分類されます。
……という感じで語っていくとものすごく長くなるんですが、とにかくまあ、世界設定が良くできていて面白いんですよ。

そして個人的にこの小説をすごく気に入った理由として外せないのが、怪物系っていうものの存在です。

そう、それでこの小説の主人公、怪物なんですよ!
人間に忌み嫌われて、意味もなく殺害の対象になる『怪物』。
この主人公は「トカゲ人間」なわけですが、そんな怪物として《シフト》してきた主人公が、差別されたり、葛藤したり、人助けをしたりするところが良いです。
『夢の中の世界だから』と言い訳して、次々に人を殺したり奴隷にしたり強姦したりする『人間』がいる中で、『怪物』のはずの主人公が秩序や仲間を守ろうと行動する様を見ていると、『本当にバケモノなのは誰だよ』っていう気分になれます。

前に、この小説って『アクセル・ワールド』と同系統の小説っていうか、ゲームの『.hack』にちょっと似てるっていうか、まあとにかくそんな感じってことを書いたんですが、さらに言うと主人公が漫画『ドロヘドロ』のカイマンに似てるなあ、とか思います。

まあ、長々と書きましたが、一言でいえば人外萌えにあてられました。
トカゲ人間かっこいい!
スライム少女かわいい!
この二つのことに気づけただけでも、この作品を読んだ意義はありました。

なんかもう、世界観とキャラクターに引き込まれて一気に読んでしまったせいか、細かい矛盾とか文章の癖とか設定の甘さとかを多少感じたりしつつも、ほとんど気にならずに読めました。
3巻の主人公が人間キャラだったことはちょっと悲しかったですけど。

とにかくそんな感じで、個人的には先日紹介した『アクセル・ワールド』と同じくらいに、今後の展開が楽しみな一冊です。

なんていうか、いくら同系統の小説って言っても、プロットとか世界観とか文章とか視点選択とかの総合的な「小説としての完成度」で言ったら、『アクセル・ワールド』の方がかなり上だと思うんですけど、『シフト』には、何か不思議な魅力があるんですよね。

興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

ただ、一つ、作者のうえお久光氏の文章には、かなり癖があることは覚えておいて頂きたいです。
特に、三点リーダ(『…』のこと)を多用する作家さんなので、人によってはものすごく気になるんじゃないかと思います。
まあ、とりあえずそんな感じです。

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