鈍色望遠鏡

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カラマーゾフの兄弟

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』を読み終えたので雑感を。


死を間近に控えた登場人物数名が語る、「全ての人間の罪を私は背負っているのだ」という言葉が気に入りました。

キリストへと罪を押し付け続けていては、おそらく人間は停滞してしまう。
聖者といえども、その肉体はわれわれと同じように「腐る」。
奇跡とは偶然であり、望んだ者に軽々しく与えられるべきものではない。
我々は、自己のうちにキリストを、聖者を、奇跡を見出せるものである。だから人間は「全ての人間の罪は背負う」ことができるし、そうであるべきなのだ。だからこそ人間は尊い。

というような思想がこの言葉に集約されているのでしょう。


また、「大審問官」の章において、キリストに奇跡を求める大審問官に対して、キリストが無言を貫き、口付けのみをするところも印象的です。

「汝の敵を愛せよ」
奇跡を求めずにはいられない立場の大審問官を、反論によってではなく祝福によって諭したキリストは、まさに神の愛の体現者です。

これこそは、他の宗教を排斥し、同じ神を信じる仲間に対しても教義や立場の違いによって反発し続けてきた歴史上のキリスト教とは一線を画した理想的な姿でしょう。



物語としては、「ロシアの上・中流階級の人々の群像劇」という感じです。
中核となるのは、カラマーゾフ家の三人兄弟とその父親、それから彼らの恋人たち。
この小説は二部構成の小説の第一部(二部は未完の遺作)とのこともあって、やや伏線を投げっぱなしにしている感もありますが、事件の終結やそれによる人々の変化・成長が描き出されている点で、物語としての完成度もかなり高いと考えられます。
少なくとも、読後に不満が残ったりはしませんでした。



この小説は、良質な小説であると同時に、壮大な思想書でもあるのでしょう。
だからこそ、『東大の教授が新入生に薦める本No.1』なんて紹介がされるのだと納得しました。(個人的には、この紹介を見ると権威主義への反発心が起こるのであんまり好きではありませんが)
多くの人に読んでもらいたい名著です。



余談ですが、個人的に大好きな小説家(兼ニート)の「杉井光」氏の作品の根底には、ドストエフスキーの思想が流れているように感じます。
特に『神様のメモ帳』シリーズには。
興味のある人は是非読んでみてください。
ニートが可愛い青春探偵物語です。


…とかいってたら、「神様のメモ帳」の四巻の発売が決定してた!
7月10日(金)か!
絶対発売日に買うわ!

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