鈍色望遠鏡

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映画の感想:『バラット』と『サマーウォーズ』

今日見た映画の感想を書きます。
ネタバレ全開注意です。



●『BALLAD 名もなき恋のうた』60点
戦国時代にタイムスリップした少年(+家族)が、
春日国の姫・廉姫とその幼馴染である武士・又兵衛の恋路を応援する。
そしたら戦争が起きて、少年たちは戦争に巻き込まれ、その中で少年たちは成長を経験する。
又兵衛は死ぬ。
 
アニメ映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』の実写リメイク作品。
つまんなくはないけど、「原作を超えた」と思える箇所がほとんどなかった作品。
アニメ独特の表現や構成を、無理に実写で表現しようとすると「薄っぺらさ」を感じさせるものになってしまうのだということを理解した。
登場人物全員、考え方が現代人的でなんか気になる。
特に敵の大将・大倉井高虎の行動原理は理解不能。物語展開のご都合主義に振り回された感じ。
ていうか、主人公たちがタイムスリップしてこなければ、又兵衛が死に、廉姫は心残り無く大倉井のもとに嫁ぎ、春日国で戦争は起きず、国力も増強していたはずなんだから、主人公たちはいたずらに状況を描き回すためにタイムスリップしてきたみたいな印象がある(又兵衛が結局死んでしまうことから、よけいに主人公たちの行動が無為に思える)
演出も微妙。戦場を車が疾走するシーンでは本当に人を轢いてしまっては困るのでノロノロとしか走れないし、又兵衛が火縄銃で撃たれる瞬間も描写されないのでやや消化不良。
上映時間も、原作が90分だったのに対し、本作は120分越えだからちょっとだれる。
小道具(携帯電話、自転車、どんぐりと大クヌギ)の使い方は原作にはない良い点だと言えるかもしれないが、やや「蛇足」とも捉えられる。
夕日とか城全景とか、風景の映し方は綺麗で良かった。

いっそのこと、要素を大きく省き、コメディ色の強い子供向け作品にするか、
話の筋を大きく変えて、大人向けの作品に徹するして欲しかった。
「バラッド」という、「破局」を含んだ言葉がタイトルになっていることから、
結末はテーマ的に変えられないところなのだろうが、
原作ファンへの一種の挑戦、あるいは救済措置として、
「又兵衛が死なない」エンディングにしても良かったんじゃないかとも思う。

あと、「クレヨンしんちゃん」のキャラの凄さを改めて感じた。
原作は「しんちゃん」が主人公だから面白いわけで、
それを「気弱な普通の少年」に変えてしまった以上、
この作品は原作とはまったくの別物。
ということは、原作とは別の要素で「売り」を作らなければいけなかったはずだが、
特に「売り」となるものが感じられないのが残念だった。


……「個性を持ったキャラクター」というのは物語において最も重要な要素だと思います。
「しんちゃん」を含め強烈なキャラクターを数多く作り出し、
彼等の日常を描くことで、面白い漫画を作り続けた臼井義人氏は本当に素晴らしい作家でした。
お悔やみ申し上げます。

余談ですが、今週の週刊少年ジャンプ(2009年43号)掲載の『バクマン。』に、シュージンのこんなセリフがありました。
『一番スゲーマンガ家ってどうゆうマンガ家か 平凡な日常を面白く描けたらそれが最強って結論になった』
その通りだと思いました。



●『サマーウォーズ』85点
数学の得意な高校生の少年・小磯健二が、憧れの先輩・篠原夏希の実家(武家屋敷)に「許婚役」として泊まりに行く。
そして、武家屋敷で発生した家族の危機と、「仮想世界OZ」で発生した世界の危機を、
「家族」それぞれが自分の特技を活かし、協力して解決する話。

『時をかける少女』で一躍有名になった細田守監督の初オリジナル作品。
同監督の出世作:『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』のリメイク的要素を持った作品。
↑に書いた『バラッド』はあんまり良くないリメイク。こっちは良いリメイク。
「仮想世界」、「世界中の人々との協力」、っていう要素を引き継いだ上で、
「家族の絆」を中心に描いた別作品に昇華している。

欲を言うならば、「仮想世界」での生活や規則をもっと詳しく・深く・魅力的に描いてほしかったし、家族の人数は少ない方が人物把握をしやすかったし、「野球」はいらなかったし、カズマが女の子だったらもっと嬉しかった(笑)
でも、綿密な計算の上で物語構成・人数構成が作られていることを強く感じたので、このあたりは好みの問題だとも思う。
仮想世界・現実世界の描写の割合も絶妙。この割合を変化させることで、似たようなテーマの面白い作品を量産できそう。

映画開始直後に現れた「仮想世界OZ」のイメージにも圧倒された。
劇場作品となると、「劇場で一本通して観る」ことが前提となっているので、
序盤に事情説明的なつまらないシーンが続き、
中盤から盛り上がってくるような作品も多いが、
この作品では全編を通じてエンターテイメント性が意識されていたように感じた。凄い。

この作品に関しては、言葉を尽くすより「とにかく見てほしい」と思う。
『ぼくらのウォーゲーム』、『時をかける少女』もあわせて見るのが超お勧め。

あと、小磯健二役の神木隆之介は、
かっこよくて俳優・声優どちらの演技も上手いなんて完璧すぎると思う。



……という感じで、今日見た映画の感想でした。
映画ってのは、やっぱり映画館で見るべきですね。
チケット代は痛いけど、面白さは普段の3割増しくらいな感じです。

あと、
サマーウォーズ関連商品
映画『サマーウォーズ』が面白かったので、勉強がてら、
・映画パンフレット
・漫画版『サマーウォーズ』(角川コミックス)
・小説版『サマーウォーズ』(角川文庫)
・児童小説版『サマーウォーズ』(角川つばさ文庫)
を買ってきました。

これから読み比べて、演出・構成・文体の違いなんかを調べてみるつもりです。
そのうちに、比較内容をブログにあげるかもしれません。

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